2004年から2011年まで、7年間計4回にわたった韓国基督教総連合会の調査では、崔三卿牧師が張在亨牧師の信仰歴や所属歴を問題化しようとしたが、信仰はキリスト教信仰を一貫して持っており、統一協会に入信したことも、所属したことも、統一協会の教理を信じたことも教えたこともないことが確認された。
韓国政府の文教部(日本文科省に相当)の記録によると、メソジストの聖化神学校が統一協会の成和大学になったのは1994年。張在亨牧師は1994年に統一協会の人々にキリスト教の教理を伝える脱会説得の活動をやめ、それまで聖書を教えていた人たちの群れを世話することに注力するようになった。1994年に大学を休職した張牧師は、それ以降1997年に退職するまでは授業自体をしていなかった。1994年に入学した学生らの中にはクリスチャンもおり、張牧師は彼らのケアをしていた。1998年に彼らが卒業するまでは彼らの面倒を見るという義務的な理由で張牧師は97年まで退職しなかった。このことから張牧師が94年以前に統一神学を教えるというのはあり得ない。また、94年以降にも教えてはいなかった。
韓国では、現代のほとんどの教団では女性牧師を容認している。しかし80年代、90年代当時の長老派の教団はだいたいが女性が牧師になるのに反対だった。張在亨牧師が合同福音教団に入る前に、張在亨牧師と聖書を学んでいた若者たちの中には男性だけでなく女性で牧師になる召命を持ってた人が複数いた。彼らは聖書を学び、イエス・キリストの福音を受け入れ救われ、その救いの喜び故に、自分もその救いを証ししようと伝道者になることを志す思いを神から授かった人たちだ。その思いを無下にせず、教派の壁を超え、女性でも受け入れ、伝道者として育成すると言ってくれたのがメソジストの教団である基督教大韓監理会(保守)だった。イエス・キリストの救いの喜びと、伝道を最も重要視するクリスチャンにとっては、アルミニウス主義とカルヴァン主義の違いなどどうでもよいのだ。伝道への熱い思いのない者が主義の違いにこだわり、党派心に燃えて争うのではないか。
そこで張在亨牧師自身は長老派の教会で生まれ育ったにも関わらず、彼らの信仰的な世話を続けながら、彼らが牧師になることができるよう助けるため、親切に受け入れてくれると表明したメソジストの教団に加入した。基督教大韓監理会(保守)の記録によると、1991年11月1日付の「加入教会地方構成及び教会住所録」にはソウル独地方の教会一覧に、ヒョウォン教会の管理者として張在亨牧師が掲載されている。「ソウル独地方」は基督教大韓監理会(保守)の教区の分け方の一つで、他には「ソウル中央地方」「ソウル地方」「中部地方」などがある。
また、1991年10月23日付の「ソウル独地方(U.C.F)全国教会住所録」にはソウル市内の3教会の他、仁川市、釜山市、大邱市などに12教会があると登録されている。このU.C.F.はUniversity Christian Fellowshipで、張在亨牧師と一緒に聖書を学び、それぞれの地方の大学でイエス・キリストの福音を伝える伝道に励んでいた基督教大韓監理会(保守)の大学生たちの集まりだ。張牧師は相手が誰であろうと分け隔てなくイエス・キリストの福音を伝え伝道していたので、伝えられた相手が統一協会の信者であった場合も差別なく福音を伝えた。その結果、イエス・キリストの十字架と復活が自分の罪を贖うためであったと信じ、救われ、クリスチャンになり、自ら統一協会を脱会した人も含まれていた。もちろん、統一協会と関係ない人たちも伝道活動の結果、群れに加わっていった。福音を伝えさえすれば、無理やり脱会させようとせずとも、人は救われ、クリスチャンになることができる。そのような力が神にあると神の愛と正義と全知全能の力に信頼して、イエス・キリストを伝えるだけで良いのだということを、張牧師のキリスト教宣教活動は証明している。
張牧師たちの群れは基督教大韓監理会(保守)に財政的に貢献できるような裕福さはなかった。むしろ張牧師みずから卸売りから買い取ったスポンジやチョコレートを路上で売って生活費を稼ぐほど貧しかった。1992年5月1日付の「教団事務所特別基金の支払い」という文書では「教団役員に配当されている事務所特別基金をまだ納付していない役員は添付の明細書を参照して未納の資金をできるだけ早く下記口座を利用して納付してくださればありがたいです」との通知がなされている。一人あたり100万ウォン、92年の為替レート0.1623で計算すると、約16万2300円だ。明細には27人の牧師が記載されている。このうち最初に名前が上がっている教団の代表者であるハン・ドンフン牧師を含めた、6名は完納済み。6名は一部納付済み。張在亨牧師を含めたその他15名が全額未納と記録されている。
この群れは後に基督教大韓監理会(保守)から独立し、基督教大韓監理会(福音)という名となった後、韓国基督教総連合会の設立時からの会員教団である大韓イエス教長老会合同福音教団に合流した。合同福音教団は1912年に創立された教団だ。
2000年10月9日大韓イエス教長老会総会合同福音と国際法人世界インマヌエル財団が共催した第85回期総会で、「大韓イエス教長老会総会(国際)、大韓イエス教長老会(高麗総信)総会法認可及び総会合同で大韓イエス教長老会(国際合同福音)教団に拡大改編・一部教団分立案」が採択された。2002年9月11日合同福音教団は第87回期分立総会で、国際合同福音教団と国際合同福音教団Bと別れた。2003年2月15日教団名を国際合同福音Bから合同福音に変更し、現在の大韓イエス教長老会合同福音教団が成立した。
https://pckr.org/council/history.htm (韓国語)
韓国基督教総連合会の調査で、張在亨牧師が悔い改めの覚書を書くようになった経緯は以下のとおり。他の全ての問題提起が異端対策委員会の委員長に却下された崔三卿牧師が、張在亨牧師が大学から退職金をもらったのが悪いとしつこく食い下がった。張在亨牧師は当時の群れの財政的難しさからそうせざるを得なかったと事情を説明し、委員長もその事情を責めることはなく理解した。しかし崔三卿牧師がどうしても諦めないので、委員長が張在亨牧師が悔い改めの覚書を書くことで、調査がこれ以上長引くのを打ち切ろうと提案した。張在亨牧師は結局その提案を呑んで調査は無嫌疑という結果に終わった。
2012年7月11日、韓国基督教総連合会の当時の代表会長を務めていたホン・ジェチョル牧師が、韓国基督教総連合会で起きた崔三卿牧師と張在亨牧師の間の出来事について、事情に疎い米国の韓国系教会に説明する会合で述べた言葉にこの経緯がよく現れている。韓国のキリスト教界の事情に疎いのは、在米韓国系の教会も、日本の教会も同じなので、日本のキリスト教界の人たちも、ホン牧師の説明に耳を傾ける価値はあるはずだ。
https://nehemiaharchives.blogspot.com/2012/07/blog-post_12.html
ホン牧師は「張在享牧師の教団は、韓基総が最初に作成されたときの創設メンバーに入っている教団である。張在享牧師はそこの元総会長だった。これがどのような私的な感情によるのかは分からないが、崔三卿牧師と張在享牧師の戦いが始まった。だから、崔三卿牧師は張在享牧師の統一協会に加入していた人士だと追求し、異端是非をした。ここで張在享牧師の異端問題が出てくるが私とは関係ないことだ。」と、まずこの問題が自分の任期のだいぶ前から存在していることについて前置きした上で次のように述べた。
「ところが、これを7年間調査した。パク・ジョンスン牧師、イ・ヨンギュ牧師、チェ・ソンギュ牧師、キル・チャヨン牧師、オム・シンヒョン牧師、イ・グァンソン牧師このように代表会長を6代を経て、なんと7年間の戦いである。アメリカにも連絡して張在享牧師を異端に作ろうと総力を傾けた。ところで印刷物の内容を見ると、崔三卿牧師が直接異端相談所長を務めながら、5時間の間対面したりした。米国の張在享牧師を呼んで直接尋問をした。」
「だからパク・ジョンスン牧師も嫌疑なし、イ・ヨンギュ牧師も嫌疑なし、チェ・ソンギュ牧師も嫌疑なし、キル・チャヨン牧師も嫌疑なし、イ・グァンソン牧師も嫌疑なし、オム・シンヒョン牧師も嫌疑なし。6代に渡って嫌疑なしということが延々と出たということだ。その当時の調査を誰がしたのか。崔三卿牧師が直接した。そして崔三卿牧師に味方する合神のパク・ヒョンテク牧師と異端で出てきた人々が異端対策委員会メンバーになって張在享牧師を計画的に殺そうと6年の間意図した。それにもかかわらず、日が変わって、新しい代表会長になるたびに嫌疑なしと出てくる。そして、その調査をしたのは誰だ、まさに崔三卿牧師だ。キリスト教バプテストのハン・ミョングク牧師、代わりにゴ・チャンゴン牧師などすべてが有能な人なのに、この人たちがこのまま委員長をしながら、すべて異端姓がないと自ら述べた。だから、終わった。」
「だから、張在享牧師が「異端対策委員会委員のこれまで陥れた人々すべてを告発して、当時の代表会長ら全部を告発する」と言うからイ・グァンソン牧師が「そのようにはしないで」と言いながら、我々がすべて終わったから和解しようとして「公証をしてあげよう」と言った。だから、当時の代表会長イ・グァンソン牧師、総務キム・ウンテ牧師の名前で、異端の嫌疑がないと公証をしている。終わった。」
逆に、崔三卿牧師は、自身の主張した「三神論」と「月経胎孕論」について、弁明の機会を与えられたのにも関わらず、これに無礼な態度をとり、回答を拒否し、韓国基督教総連合会と韓国基督教総連合会の秩序対策委員会を誹謗した。2011年12月15日韓国基督教総連合会の役員会は崔三卿牧師の三神論と月経胎孕論に対して秩序確立対策委員会の「キリスト論はもちろんのこと神論、救援論、贖罪論を崩す異端的主張」という報告を受けた。韓国基督教総連合会定款と慣例上、各委員会の報告は役員会で受理されることで確定される。役員会は委員会の報告に重大な欠点がないとしてそのまま受理した。
同月27日に開催された韓国基督教総連合会の実行委員会では、これに不満を表明しようとした崔三卿牧師が、議場に許可なく乱入しようとし、最初から出入口で入場を止められたが、出ていくよう言われても無視して、無理やり入り、会場の真ん中に座り、議長の許諾もなしに発言をしようとした末、出席委員によって会議場の外に連れていかれた。これは何かに似てはいないだろうか。「実録 教団紛争史」の第四章で紹介されているように、日本基督教団の平山照次牧師が「日本キリスト教団は、1969年9月11日午後12時、私の眼の前で〈実質的に〉崩壊しました。」と述べたその場を紛争史は「九・一、二の主役たちは、「教会は革命の拠点である」と主張し、実行し始めたのである。反政府、反体制でないものは教会ではないと絶叫して止まなかった。そして、ついに、飯清教団議長が、それに屈したのである。妥協させられてしまった。それは連鎖反応となった。勝ったと連呼する学生、教師たちは、(やくざ)まがいの脅迫や、ヘルメットでの乱入などで、うろたえた教師たちを変節させて行った。」と記録している。
https://nehemiaharchives.blogspot.com/search/label/%E6%95%99%E5%9B%A3%E7%B4%9B%E4%BA%89
教団紛争史が「常議員会は常議員によって運営される。教会役員会は選出された教会役員によって開かれる、という、あまりに当然な原則が、吹き飛ぶように崩壊したのである。教憲第四条の『本教団は教憲および教規の定めるところにしたがって、会議制によりその政治を行う』は、無残に破られたのである。」と嘆くような会議制を破壊し、無視する所業を、韓国で、崔三卿牧師が行っていたのだ。1969年9月11日の日本基督教団と2011年12月15日の韓国基督教総連合会の違いは、暴力を行使する者らの人数だろう。幸いにも崔三卿牧師ら韓国の問題提起者の場合は2人しか議場におらず、無事排除され、「会議は大きな騒ぎもなく終了した」。
2009年9月21日から5日間開催された、大韓イエス教長老会統合教団の教団総会でも、崔三卿牧師は自身の所属する統合教団の会議制を侮り、私物化し、私利私欲のために乱用し、会議にかけないで「韓国クリスチャントゥデイとその設立者である張在享牧師に対して異端擁護言論として決議」させたことは複数回再確認されている。
2010年9月6日から10日にわたって開催された統合教団の第95回総会で「張在享牧師と韓国クリスチャントゥデイに対する異端擁護言論決議」の過程自体に法的欠陥があり不法決議だったことが当時の総会監査委(当時委員長カン·サンヨン長老)監査結果明らかになったという報告が意義なく確定した。また、2016年には統合教団の役員会で(当時総会長チェ・ヨンナム牧師、副総会長イ・ソンヒ牧師)は該当決議が源泉無効化されたことを再確認した。
2023年6月12日韓国クリスチャントゥデイが、大韓イエス教長老会統合教団に公文書を送り、これに対する事実確認を要請し、統合側総会役員会は該当決議に対して「内規の規定により手続きどおり進めず議決定足数違反が確認された」と監査指摘したことと、そのような監査委報告が定期総会に報告され確定したことを事実確認した。2023年6月17日大韓イエス教長老会統合教団が源泉無効であることを事実確認した公文書を韓国クリスチャントゥデイに送付した。2023年9月19日大韓イエス教長老会統合教団の第108回教団総会で監査委員会の報告が定期総会に報告され、確定したことを事実確認、総会で異議なく通過した。
つまり、張在享牧師と韓国クリスチャントゥデイと統合教団との間にあった事実に基づかない否定的な誤解は2010年に解消され、これが周知されるまでに複数回にわたって事実の再確認がなされ、両者の関係は正常化したということだ。
このように状況が整ったことを背景として、2023年11月3日大韓イエス教長老会統合教団総会長キム・ウシク牧師に韓国クリスチャントゥデイがインタビューし、記事が掲載された。
https://www.christiantoday.co.kr/news/357868 (韓国語)
2023年11月3日しかし、崔三卿牧師と関係の深い左派紙であるニュースNジョイがインタビュー記事が掲載されたことを、2009年の誤った決議を今だにも持ち出して非難する記事を掲載した。
https://www.newsnjoy.or.kr/news/articleView.html?idxno=305851 (韓国語)
これに対し、2023年11月4日統合教団の決議が源泉無効であることを事実確認した統合教団の公文書を、韓国クリスチャントゥデイは紙面で示し、ニュースNジョイの主張が事実ではないことを示す記事を掲載した。
https://www.christiantoday.co.kr/news/357917 (韓国語)
この両者の応報には以下のような反響があった。
2023年11月9日「ニュースと論壇」が記事「CTは異端擁護言論源泉無効、ニュースNジョイは異端擁護言論請願」で詳しい解説を掲載。「第3回実行委員会で調査対象に追加することを決議した異端擁護言論件は請願や献議や質疑された案件ではなく、93会期専門委員に委嘱されたチェ·サムギョン牧師が会議時に即席で提案して決議したもので、個人によって公的機構である総会異端対策委員会が翻弄されたものだ。」と述べた。
http://lawtimes.net/4915 (韓国語)
https://papago.naver.net/website?locale=ja&source=ko&target=ja&url=http%3A%2F%2Flawtimes.net%2F4915 (日本語訳)
2023年11月15日「ゴスペルトゥデイ」に統合教団のイ・ジョンファン牧師が寄稿した記事「断罪の剣、誰が、なぜ振るのか?」の中で、統合教団における経緯を解説し、統合の異端対策委員会の間違いを指摘した。
https://www.gospeltoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=11348 (韓国語)
韓国のキリスト教界の事情は複雑だが、思い込みではなく、事実に基づいて論じる必要がある。